法案の行方にかかわらず、小売企業はすでに消費増税への対応を模索している。ユニクロや「無印良品」を展開する良品計画、しまむらはすでに増税後の価格据え置きを発表している。増税によるマイナス分は仕入れ原価や物流コストの削減などを進めることでカバーする。ただし、この3社は前期決算で最高益を達成している勝ち組だ。12カ月連続で販売額がマイナスになるなど、競争環境が厳しいスーパー各社は、そこまで明快な判断を示していない。還元セール禁止の反発とは裏腹に、増税分すべてを吸収できる余裕はない。各社首脳は「表示は大半の会社が外税、内税の併記になるだろう。ただ、そのまま価格転嫁して消費者が受け入れる可能性はほとんどない」(岡田社長)、「一般の消費者の皮膚感覚からいって、すべて価格転嫁することは難しい。売価にすべて転嫁することは簡単ではない」(マルエツの上田真社長)と言う。試行錯誤はすでに始まっている。たとえば、和歌山地盤のスーパー、オークワでは、自社で製造する1袋200グラムのうどん(売価18~19円)について、180グラムに容量を減らす一方、原料の小麦は国産に替え、価格は引き下げや据え置く実験を行っている。神吉康成社長は「自社の工場商品は、消費増税とともに売価を下げて(数量を増やし)利益を拡大させる」と話す。また、埼玉を中心に展開するベルクは「安易に転嫁しては他社に差をつけられる。目立つ商品を上げないで、目立たない商品を上げながら微調整していく」(原島功社長)。来年4月の消費増税によって、競争が激しくなることは確実。利益を削り合う消耗戦を避けるために、各社とも知恵を絞っている。
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